重要な医学体系である「伝統医学」とは
時代を超えた伝統医学は〝治癒力〟の存在を証明している
- 重要な医学体系である「伝統医学」とは
- 「自己治癒システム」への絶対的な信頼感
- 自己〝治癒力〟を活用する医療とは
さまざまな療法を持つ代替医療のうち、東洋医学やインド伝統医学(アーユルヴェーダ)など、数千年の歴史を通して磨かれ続けてきた医学のことを、伝統医学と呼びます。
この伝統医学は現在、アジアだけでなく、最も文明の進んだヨーロッパ・北米地域においても、非常に高く評価され、信頼されているということをご存知でしょうか?
アメリカの国立衛生研究所や食品医薬品局(FDA)では、特にこの伝統医学をとても重要な医学体系であるととらえ、「全人的医療」をその特徴として挙げています。
臓器、組織、細胞など細分化された構成要素に重点を置く、近代の西洋医学は、伝統医学にくらべると対極的な視点に立って研究されてきました。
伝統医学においては、人間は社会的な生物であり、「心身相関」といわれているとおり、こころの安定を含む全体のバランスを大切にすることで〝治癒力〟が大いに働き、健康が実現されると理解されているのです。
また、統計によると、伝統医学の利用者は世界人口約71億人のうち約40億人以上と推定され、西洋医学の利用者を大きく上回っています。
「井の中の蛙(かわず)」といっては失礼でしょうが、もし、あなたが今もまだ、西洋医学至上主義の固定観念を持っているとすれば、残念ながら世界的にスタンダードな視点からはほど遠く、もしかするとガラパゴス諸島のように、世界標準とは異なる進化(?)をとげてしまった日本特有の医学概念にとらわれているだけではないでしょうか。
実は、この日本の医療史においても、むしろ東洋医学が主流医学である、と指摘する人たちも多くいるのです。
漢方・鍼灸・指圧などの「日本東洋医学」は、千五百年近い経験に裏打ちされた本物の「伝統医学」であり、非人工的を表す「自然療法」という側面を持っています。
現在の日本でも、70%以上の医師が日常診療に漢方薬を使用しているのですが、それでいて日本医療の仕組みは、伝統医学の効果を認めたがりません。
ただし、ここで思い出してほしいことは、「あなたにとっては、あなたの健康が、最も大切である」ということです。
もっと自由に、広い視野で判断したり、選択したりしたっていいのです。
これは、「日本に素敵な異性が見つからないなら、世界中から選んだっていい!」という理屈に似ているかもしれませんね。(笑)
残念ながら、日本の西洋医学的な関節炎の治療は、局所の視点にしばられるあまり、病気を根源的なところから治すという視点に欠けています。
原因ではなく、目の前にあるよくない現象だけを取り除こうとしていることに加え、厚生労働省の認可が得られた薬物療法や手術から、治療法を選択するしかないという状況にあります。
保険制度に制約がかけられ、石油由来の薬が効かなければ手術するしかないといった、選択の幅が非常に狭いことが大きな課題といえるでしょう。
中村司 著「リウマチ卒業生に学ぶ9レッスン」
~すべての関節痛は〝治癒力〟を語る~
第6章より、抜粋・編集