第26号 「3rd Life」
- あれから12年・・・2014.02.24
- 一通の手紙2014.02.24
- 幸せのかたち2014.02.24
- ~旦那後記~2014.02.24
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あれから12年・・・
親友の兄である主人と出会い、つきあうようになり、結婚にまで至りましたが、いま思うといろいろな偶然とタイミングが重なっており、「縁」というのはこういうなものかなぁ、としみじみ感じています。
東京と大阪、主人との遠距離恋愛が始まり初めて私が東京に遊びに行ったときのことです。
吉祥寺のライブハウスで行われる主人のバンドのライブを見に行くことになりました。
主人の友人たちに会うのもこのときが初めてで少しドキドキ していたのを覚えています。
ライブハウスというのは地下にあることが多く、しかも階段はけっこう急で、壁にはバンドのチラシがたくさん貼ってあり、 手すりなど付いていないのが大半で、その時のライブハウスもそうでした。
知っている人がいれば腕を持たせてもらうのですが、私の身体のことを知らない初対面の人ばかりでとても困っていたのに、近くにいた主人は手を差しのべてはくれませんでした
そのときの主人の気持ちも理解できました。
初めて彼女を連れて来てみんなの前でベタベタしているように見られてしまうことが恥ずかしかったのだと思います。
男としての気持ちも理解したうえで、翌日主人にこう話しました。
「物理的に危険なときに、友人が見てるから恥ずかしいとか、格好悪いという想いがあるならこれから付き合っていくことは難しい」と・・・
あれから12 年・・・
今では私の方が恥ずかしくなることもあるぐらい、真っ直ぐな気持ちで私をサポートしてくれていることに、心から感謝しています。
その姿を一番近くで見ているこうちゃんも、とても思いやりのある優しい子に成長してくれています。
主人を知る周りの人は看護師さんも含めて皆一様に
「何でもしてくれて助かるね、本当にいい旦那さんやね」
と言ってくれます。
綾小路きみまろではないですが「あれから40 年…」と言う日がくるまで、主人とこうちゃんと共に歩いていきたいと思います
一通の手紙
先日、遠方の友人から手紙が届きました。
メールではなくわざわざペンをとって伝えてくれた内容は「延命」についてでした。
彼女の考える延命とは「意識が無い状態で機械の力に頼った生存」なので、今回の私の決断を「延命」という言葉で表現するのはふさわしくないと思う、と書かれてありました。
世の中の大半の人は日常生活で「延命」という言葉とらしをしていると思います。
私自身もALSという病気に直面するまで考えことがありませんでした。
彼女がわざわざペンをとり「延命なんて言葉を気にしないで生きて欲しい」と伝えようとしてくれたのだと思うと、その気持ちがとても嬉しかったです。
私は親友に「生きる事に執着を持つと、どんな病気にも勝てるってことを証明するのが私の役目だ!」と言われているので、全力でその任務を遂行したいと思います。
幸せのかたち
私は入院中に何度か、同病で年齢も近い方と同室になったことがあります。
お互い話すことができないため、特に交流もなく離れていってしまうことが多かったのですが、会話ができない分、無意識のうちにいろんなことを観察するなかで、いくつかの共通点が見えてきました。
まず1つ目は私もそうだったように、結婚していても実の母親の世話になっているということ、そして2つ目は、実の親だからこそ、自分の意思が伝わらないとイライラが倍増し、ついきつくあたってしまっているということです。
この事実を客観視できたことで、親に対する態度がきついのは自分だけじゃないんだ、と安心した部分もありましたが、これはお互いの精神衛生上、けして良いことではありません。
悪気はないのにきつあたってしまう娘、分かってあげたいの にそれが難しい母。
この状態が続けば、親子とは言えお互いに疲れてきてしまいます。
在宅介護で一番大切なことは、みんなが笑顔でいられることだと考えている私は、メンタル的にも体力的にも共倒れする前に、主人がいる東京で他人介護による生活をスタートさせることに踏み切りました。
それが実行できる環境下にあったことと、サポートしてくださる方に恵まれていたことを幸せに思い、感謝しています。
過去に大病で親に介護をしてもらってから19 年、今も現役でバリバリ働いている母ですが、ふとしたときに老いを感じるのは否めず、そんな母に面倒をみてもらうのは病気とは違う次元での辛さがあり言葉では表現できない複雑な心境でした。
そんな私の立場から見ると、親の介護ができるということはそれだけでけっこう幸せなことだと思います。
そう思うことができれば介護の大変さも半減するのではないでしょうか?
私は介護をされた経験しかありませんが、介護する側とされる側とが笑顔で暮らせる「介護のかたち」がそれぞれに必ずあるはずで、我が家は今のかたちにたどり着きました。
いつの日か、隣のベッドに入院していたIさんとIさんのお母さん、そして母と私の4人で、美味しいご飯を食べながら 「子を持つ母のALS あるある」「ALSの娘を持つ母あるある」ができたら絶対に盛り上がるはずです。
~旦那後期~
これまで観葉植物をことごとく枯らせてきた私たち 夫婦ですが、東京の新居は風水的によいのか植物が よく育ちます。
写真は母の日のカー ネーションにおまけでついてきた 「ラッキークローバー」全ての葉が 四つ葉という縁起のよい植物です。
なにか良いことありそうでしょ?