第31号 「3rd Life」
- 埼玉のおばあちゃん2014.08.01
- お出かけ日和2014.08.01
- ~旦那後記~2014.08.01
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埼玉のおばあちゃん
結婚して関東での初めての住居はさいたまの武蔵浦和でした。
その後、お産と主人の転職を機に川口にマイホームを構えましたが、ALSの発病に伴って心のふるさと大阪に戻り気持ちを充電、
そしていまは家族3人で東で暮らしています。
とても不思議なご縁なのですが、結婚当初に住んでいた武蔵浦和のマンションの大家さんとは、いまでも親しくおつきあいさせていただいています。
大阪から嫁いできて、初めて関東で暮らす私をなにかと気にかけて、とてもよくしていただきました。
三十路とはいえ初めて親元を離れた私にとって、大家さんはとても心強く、そしてとても暖かな存在でした。
こうちゃんを授かったときも、とても喜んで応援してくださり、いまもこうちゃんの成長を気にかけ、まるで孫のように可愛がってくださいます。
私たち家族、特にこうちゃんにとっては、大家さんは「さいたまのおばあちゃん」とでも言うべき存在です。
そんな大家さんですが、趣味で画を描かれています。
こうちゃんが4歳のころ、その画が賞をとり大阪天王寺の美術館に展示される折には、埼玉からはるばる会いに来てくださったこともありました。
あれから2年、今度は銀座で個展を開催されるとのことで、思いきって銀座へ行ってきました。
私は「人生のベストタイミングは自然に訪れる」と思っており、今回の個展開催のお知らせも、外出に踏み出すなら「今でしょ!」と背中を押されたように思います。
初めて訪れるギャラリーは、大家さんの画も、そしてちょっと非日常な空間も、とても素敵なものでした。
「苦労して描き上げた画ほど後になって愛着がわいてくる、苦労はけして無駄ではない」
との大家さんの言葉を自分の身に置き換え、確かに苦労を重ねる毎に自分の人生に愛着がわいている実感があり、
いまの苦労も無駄ではなく未来につながっているのかと思うと『一生懸命生きる』っていいな、とあらためて感じました。
銀座の個展に招待していただいたことは、全てのタイミングにおいてプラスとなりました。
いいきっかけを与えていただき感謝しています。
この銀座への外出が自信となり、翌週には、なんと都バスで上野動物園まで遠征することができました。
いきなり飛び過ぎた行動で「中間はないの?」と言われてしまいそうですが、そこが「私らしさ」です。(*^^)v
お出かけ日和
勤労感謝の日である11月23日に姪っ子たちが遊びにきてくれました。
前出の銀座への外出で自信をつけた私は、自宅近くのバス停から乗り換えなしの都バス直通で行ける「上野動物園」にチャレンジすることにしました。
当日は朝から快晴の行楽日和。
初めての都バスでしたが、乗車もスムーズに行うことができ、順調に出発できました。
私の車イスは座面が高いため、介護タクシーだと外の景色が微妙に見えないのですが、広いバスの車内からは、存分に車窓の景色を楽しむことができました。
また降車したバス停から動物園の入り口が非常に近いことにも驚きました。電車だと駅構内の移動距離が案外長いので、こういう点はバスの大きな利便性だなと気づかされました。
さて上野動物園と言えばパンダですが、今回はガラスにいちばん近い車イス優先通路に案内してもらい、間近でパンダを見ることができました。
こればかりは車イスの特権ですね (*^_^*)
祝日で人も多かったのですが、とくに不自由を感じることなく、みんなで動物園を満喫することができました。
銀座に続き、連続で外出介助についてくれた看護学生であるヘルパーのAちゃんは
「ホッキョクグマを見ながら屋外で痰吸引することはなかなかないです」
と笑っていました。
車イスで、人工呼吸器をつけて、吸引器を持参し、公共交通機関の都バスに乗って、上野動物園に行く。
これを止めるのではなく、最大限に協力してくれる家族やスタッフさんに囲まれていることは、このうえない幸せだと感謝しています。
周りの「見守る勇気」が私の世界をどんどん広げてくれています。
~旦那後期~
勤労感謝の日に遊びにきてくれた小学1年生の姪ですが、将来は看護師さんになりたいとのこと。
なんで看護師さんになりたいのか聞くと
「看護師になってりえちゃんのこと助けてあげるの」
と答えてくれるそうです。
まだ幼いながらも、妻に接することで心のなかに芽生える想いがあるんだなと思うと、歳のせいか若干涙腺が緩みそうになります。
ちなみにこうちゃんは将来「レジの人」になりたいのですが、これから成長に伴いどんな風に変わっていくのか楽しみです。