第34号 「3rd Life」
- ママ友2014.09.11
- 男二人旅2014.09.11
- 『撲のいた時間』~PART2~2014.09.11
- ~旦那後記~2014.09.11
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ママ友
私の日常は9名のヘルパーさんを中心に、看護師さん、入浴サービス、マッサージ、リハビリ、歯科医の先生、そして往診の先生と、本当に多くの方によって支えられています。
往診の先生を除くと、そのほとんどが女性で、こうちゃんよりも小さい子どもがいる方や、すでに成人している子を持つ先輩ママさんなど、みなさん現役でバリバリ働いています。
そんなみなさんから子育てのアドバイスをもらったり、お互いの子どものことを話したりと、いわゆる『ママ友』との交流がない私にとっては、とてもありがたい存在であり、いろいろと勉強させてもらっています。
こうちゃんが1歳4ヶ月のとき、私はこうちゃんを保育所に預け、出産前に勤めていた会社に職場復帰しました。
仕事で主人の帰りが遅く、実家が遠方で逃げ場のない私にとって、一日中子どもと二人きりで向き合う生活は、かなりしんどいものでした。
ですが仕事を始めると、これまで以上に忙しくはなりましたが、逆にこうちゃんとしっかり向き合えるようになりました。
つくづく私は専業主婦には向いていないようです。
しかし1年も経たずALSの症状が出始め、仕事を辞めることになりました。
こんなことになるならこうちゃんを保育所に預けてまで働くことはなかった・・・
こうちゃんとの時間をもっと大切にすれば良かった・・・と、
自分を責めることもありましたが、そんな自責の念を払拭してくれたのは、バリバリ働く女性たちの姿でした。
やはり私は、仕事にやりがいを持って働く人が一番格好いいし、素敵だと思います。
その気持ちは今も昔も変わりません。
私の周りの働く女性陣の姿を見ている内に、自然と『あのときの自分は間違っていなかった!』と自信が持てるようになっていました。
そんな女性たちに囲まれて、たくさんのパワーをもらっている私ですが、じつは『難病克服後は誰かの役に立てるような仕事をする』ことを、こっそりと企んでいます。
男二人旅
2月11日の建国記念日、主人とこうちゃんが新潟のガーラ湯沢へと雪遊び旅行へ行ってきました。
朝一でヘルパーさんと入れ替わるように自宅を出発!
オール2階建て新幹線「MAXとき」に興奮気味のこうちゃんでしたが残念ながら行きは1階席とのことでした。
スキー場初体験のこうちゃんは1日中そり遊びを楽しんだようですが、ソチ五輪を見て、今度はスキーをやってみたいと言っています。
私へのお土産に、笹団子キューピーのご当地キーホルダーを買ってきてくれました。
一緒に行けないのは残念でしたが、こうちゃんにいろんな経験をさせてあげようと頑張ってくれる主人に感謝しています。
家に帰ってくると、たくさんの写真や動画を見せてくれました。
その中に『私も一緒に行った気分が味わえるように』と、ソリに乗って滑りながらカメラを回してくれた動画がありました。
それを見たとき、私は感動を通り越して『なるほど!』と納得に近いものを感じました。
というのも、私は主人の介護は技術的な面も含めて完璧だと思っています。
いつ転職してもなかなかのスペシャリストになれるはず・・・?
もちろん夫婦だからこその『あうんの呼吸』という部分も大きいとは思いますが、何でそこまで気が付くのかな?と思うことがときどきあります。
でも、あの動画を私に見せたい、と思ってくれた主人の気持ちに介護と向き合う原点があるような気がしました。
同じ目線からの景色を見せてあげたいと思う優しさと、同じ目線からじゃないとリアリティーが伝わりづらいから滑りながら撮ろうという発想力。
主人がいつもそういう気持ちでいてくれるから、気持ちのいい介護が受けられている気がしました。
同じ目線でALSと向き合ってくれていることを肌で感じることができるから、これからも二人で一緒に歩いていけるのだと思います。
寒いところは苦手ですが、この目でソリからの景色が見られる日が来ることを信じています。
『撲のいた時間』~PART2~
ドラマを見ていると、数年前のことをいろいろ思い出します。
いま当時をあらためて振り返ってみると、私は危険が及ぶ前に、常に先手の行動をとれていたように思います。
幸いにも周囲にアドバイスをしてくれる人がたくさんいたことはもちろんですが、いまの自分は、そのアドバイスを素直に聞き入れた当時の自分自身に守られているように感じます。
不思議な感覚ですが、自分に守ってもらった人生だからこそ、自分を裏切らない価値のある生き方をしていきたいと思っています。
~旦那後期~
卒園式間近のこうちゃんですが、最近は家で「さよなら僕たちの保育園」という歌を練習しています。
これがなかなか泣かせる歌で、練習のたびに妻が号泣しています。
練習でこれだけ泣くとなると本番がちょっと心配ですが、こうちゃんは「40歳なんだから泣かないの!」と妻に厳しく注意し、
自分はそんな光景を眺めつつ「妻の泣き顔は大阪のお母さんにそっくりだなぁ」などと思いながら洗濯ものを畳んでおります。
今日も家は「全て世は事もなし」といった風情です。